船舶用電池や電気運搬船の開発を行うパワーエックスは10日、JA三井リース、損害保険ジャパン、正栄汽船、辰巳商会、四国電力、アンカー・シップ・パートナーズ グループ、ほか事業会社から総額27億円の資金調達を行なったことを明らかにした。これまでの累計資金調達金額は約99億円。調達した資金は、蓄電池製品の製造や、製品の研究開発に充てる。
「この調達資金をもって、建設中の当社蓄電池工場の完成、蓄電池製品の生産出荷、EVチャージステーションのサービス展開・拡大等の再生可能エネルギーの普及の実現に向けた取り組みを加速させてまいります。」(パワーエックス CEO伊藤正裕氏)
パワーエックスは2021年3月設立。大手海運会社の今治造船や日本郵船などと事業提携し、船舶用電池や⽇本の海域にある洋上⾵⼒発電所から海岸に⾃然エネルギーを輸送するための電気運搬船「Power Ark」の開発を始め、バッテリー型超急速EV充電器「Hypercharger」や大型定置用蓄電池「Mega Power」の開発、製造などを行なっている。
電気運搬船の初号船「Power ARK 100」は船舶⽤蓄電池を 100 個積載。220MWh (⼀般家庭およそ 22,000 世帯1⽇分の電気)の蓄電能⼒を保持し、短距離から⻑距離の電気輸送に対応する。完全に電気のみで航⾏する仕様とバイオ燃料などを併⽤して航⾏する仕様を持つ。電池のみで推進する場合、300km 程度の沖まで航⾏し、陸地から遠い沖合や離島、電⼒網のない様々 な場所に電気を届けることが可能。これにバイオディーゼルなどを併⽤することでより遠距離化を実現し、国境を超えた⼤陸間のクリーンエネルギー輸送も可能になる。現在、2025年までの開発を目指している。
2022年に予約受注を開始したバッテリー型超急速EV充電器「Hypercharger」とバッテリー型超急速EV充電器「Mega Power」は、2022年末時点において累計予約受注容量が3.3GWh(330万kWh、約1,861億円相当)を突破。現在建設中の大型電池製造工場「Power Base」での製造ラインが立ち上がり次第、出荷を開始するほか、今年夏頃からは、 EVチャージステーションを都内中心に10ヶ所で順次サービスを始める予定だ。
代表はファッションECサイトのZOZO元COOの伊藤正裕氏。⽇本の⾃然エネルギー拡⼤促進を目指し、電気の蓄電と送電にイノベーションを起こすべく立ち上げた。社外取締役には電池ベンチャー⼤⼿ NorthvoltのCOO Paolo Cerruti⽒、元 Google 幹部Caesar Sengupta⽒、⽶ Goldman Sachs 元パートナー Mark Tercek⽒が就任している。
Data Base パワーエックス