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月面着陸失敗 ispace、純損失△113億円赤字→債務超過23億円→上場に伴う資本調達で解消

月面着陸失敗 ispace、純損失△113億円赤字→債務超過23億円→上場に伴う資本調達で解消

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月面探査や月への荷物輸送サービスなどを展開するispace<9348>が15日発表した2023年3月期連結業績は、最終損失が前期△40億5,900万円から△113億9,800万円へ拡大した。ミッション1の打ち上げ費用が一括計上されたことや、保険金、業務委託費、広告宣伝費などが膨らみ、対前期比で販売管理費が大幅に増加した。4月26日の月面着陸失敗で、ミッション1のSuccess 9-10が完了出来なかったことによる業績への影響は軽微。想定売上が約1億円程の減少が見込まれるが、月保険の締結により、ミッション失敗時の財務リスクは軽減された。また、純損失△113億9,800万円を計上したことで、純資産残高が前期末に比べて111.7億円減少し、23億4,760万円の債務超過に陥ったが、株式上場に伴う資本調達で解消する予定だ。

ispaceは月面探査車の開発、民間による月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」への参加を目指し、2010年に創業。4月12日に東証グロース市場へ新規株式を上場した。上場初日は買いが膨らみ初値がつかず、上場2日目となる4月13日に公開価格254円の3.9倍となる1,000円で初値をつけた。初値ベースの時価総額は公開時204億2,700万円から804億2,100万円に拡大。株式上場による資金吸収額は70.5億円だった。

同社は顧客の荷物を月まで輸送し、月面探査やデータ収集を行うペイロードサービスをはじめ、技術開発や事業開発で協業を行うパートナーシップ・プログラムの提供などを行う。打上ロケットの開発は行わず、打上プロバイダーと契約し、打上サービスを購買。顧客の荷物を自社で開発したランダー(宇宙機)やローバー(車両)に搭載し、打上ロケットによって宇宙空間の一定ポイントまで輸送される。ランダーとは、天体の表面に着陸し、静止することができる宇宙機。ローバーは地球外の天体の表面を移動し、観測するために使われる車両のこと。宇宙空間でロケットから分離されたランダーは、自力で宇宙空間を推進、月面に着陸する。着陸後、ランダーから分離されたローバーが、月面を自走しながら探査活動や、デー タ収集などを行う。取得データはランダーを経由して地球に伝送される。

2022年12月11日に月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション1として、SpaceX社ファルコン9ロケットにより打上げられた。4月26日、ミッション1最終段階となるSuccess 9の月面着陸に失敗。民間企業としては世界初となる月面着陸は達成できなかった。

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