6日、小型SAR衛星の開発を行うQPS研究所<5595>が東証グロース市場へ新規株式を上場した。初値は860円で、公開価格390円を120.51%上回った。公開株数は10,256,300株、初値ベースの時価総額 301億円、株式上場による資金吸収額 39.9億円。調達資金は小型SAR衛星の製造費用などに充てる。
QPS研究所は、2005年6月に九州大学の名誉教授の八坂哲雄氏と桜井晃氏、三菱重工業のロケット開発者だった舩越国弘氏により創業。リモートセンシング技術を利用した地球観測のための小型SAR衛星の開発、製造のほか、衛星を通じて取得した地球観測データや画像の提供など行う。 SAR衛星は、衛星自身が観測地点に対して電波を発射し、反射した電波によって対象物の大きさや表面の性質、距離等を測定するため、天候や時間帯に左右されることなく常時地球を観測できるのが大きな特徴。将来的には36機の小型SAR衛星を運用する計画を掲げており、小型SAR衛星によるコンステレーションを構築し、世界中どこでも約10分で地球を撮影できる体制を目指す。 衛星コンステレーションとは、多数個の人工衛星が協調動作する様子を星座に見立てたシステム。独自開発する同社の100kg級小型SAR衛星は、従来の数トン単位の衛星とは異なり、製造コストや打上げコストを低く抑えることができるほか、短期間での開発ができるメリットがある。 2019年12月に実証試験機である小型SAR衛星1号機(イザナギ)を打ち上げ、2021年1月にも実証試験機の2号機(イザナミ)を打ち上げた。2021年5月には2号機より高精細モード(分解能70cm)の地球観測画像の取得に成功し、同年12月より地球観測画像の販売を開始した。2023年6月に6号機(アマテル-Ⅲ)の打上げ成功。2号機と6号機による2機の衛星コンステレーションを構築した。同社の地球観測衛星データ事業は安全保障分野の需要が高く、特に安全保障や海洋監視、インフラ管理、防災・森林監視などの領域で新たなサービスを創出していく。
直近の業績は、直近の業績は、2023年5月期売上高 3億7,200万円、営業利益△3億1,400万円、経常利益 △3億2,300万円、純利益 △11億500万円だった。2024年5月期の業績予想は、売上高 14億4,700万円、営業利益△4億7,000万円、経常利益 7億900万円、純利益 △7億1,300万円の見通し。
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